>>478の出典に基づけば、「聖書」という言葉の定義には「聖人が書いた書物」という意味のほかに
①叙勲などを司る記録官による、正式な記録作業によって編纂された書類。
②賢愚の分け隔てなく全ての評価対象者をおしなべて取り上げた書物。
③賢愚をおしなべて取り上げつつも、その格の上下に合わせた公正な評価が行き届いている書物。
④年功や等級の高低を重視し、分をわきまえない僭越などを十全に排している書物。
といった意味が備わっていることが分かる。
①の条件は、四書五経のうちの「書経」が満たしており、正式な記録官による政治記録であるため、
「書経」はその別名を「尚書」ともいう(尚書は官命でもある)。②と③の条件は、大雅において賢人を称える詩を、
小雅において愚人を戒める詩を掲載している「詩経」や、春秋時代の政治家やその業績を賢愚の分け隔てなく
孔子が撰述した「春秋経」などが当てはまる。④の条件も、君臣長幼の序を重んずる「易経」や「礼記」、
「論語」などの書物が当てはまり、まさに四書五経こそは、「聖書」という言葉の意味に適う条件を満たしきっている。
(ちなみに、漢代以前までは読書ではなく実践の対象とされたため、体系的な書物として
編纂されていなかった「礼記」は、前漢の儒者である戴“聖”によって初めて文献化されたため、
「商君書」や「イザヤ書」「ダニエル書」などの命名基準に基づけば「聖書」とも呼べる)
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