「医学が純然たる科学とは言い難い」というのは俺も認めるところだ。
極めていびつで狭い範囲だけを執拗に取り扱っている博物学の一種であり、
数理物理学の理論的な整然さや万物に至るまでの征服性とは対照的なものともいえるが。
それでも、今まさに人々が苦しめられている病を、確立された手法によって確実に
治してかかり命を救うその信頼度の高さ故に、医者こそが最たる尊敬の的ともなっている。
理論的にいびつであっても、治療の原理がよく解明されていて、神秘性などに
頼っている点がないのがかえって民間療法などよりも信頼の置かれている点でもある。
そういった面で、俺が編み出した治療法こそは、むしろ現代医療をも上回っている。
右肩関節の緩みを右股関節に落とし、さらに左股関節や左肩へも分配して引き締める。
伸筋と屈筋、上腕二頭筋と三頭筋、内転筋と外転筋、腓腹筋内側頭と外側頭などの
独立的な調整によってそれを可能とすると共に、それらの不整合による副作用も防ぐ。
そのために活用する技法もまた、全て力学的な根拠を持ち合わせていて神秘性などはない。
(過敏性腸炎も腹直筋と腹斜筋の不整合等を原因としている場合にはこれで治療が可能)
治療の原理が厳密に判明している度合いでも、治療不能とされている病を治せる度合いでも
俺の療法>現代医学療法>その他の民間療法>カルト療法であり、
そもそも現代医学をより高度に理論化させて行く可能性を秘めているのでもある。
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