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原理的には不老不死であるロブスターやベニクラゲ、
ガン因子を根本的に持ち合わせていないハダカデバネズミなど、
ある種の普遍性を獲得した生物というものもまた存在する。
それと同じように、その物品の規格に沿ってほぼ完璧な普遍性を
獲得したモノというものもまたあり、名刀や名器などの形で多くの実例が存在する。
煮る、焼く、叩き壊すなどの手段によってはやむなく損壊死滅して、
その普遍的な価値を失ってしまうこともまたいくらでもあろうが、別にそれが、
当該のモノや生き物が"原理的"な普遍性を持ち合わせていたことへの反証になるわけではない。
諸行無常の法則を完全に撥ね付ける、普遍的な恒常性を帯びた事物となれば、
それは虚空ぐらいでしかあり得ない。太陽や銀河系ですら何百億、何兆年の後には
損滅して今とは全く異なる様相へとなり替わってしまっているのに違いないのだから。
そのような域にだけある、極端な普遍性のみを本物の普遍性だなどと見なすあまり、
万事万物を粗略に扱って疎かにしてしまうのもまた、少なくとも仏の道ではあるまい。
諸行無常の理と共に、世界中に遍在している普遍性の断片に親しみ、
おのが死と共にまた普遍中の普遍である虚空へと帰一する運命を楽しむ者こそは、
仏者だか武芸者だかその他のなんだかは別にして、最もめでたい部類の人間であるのに違いない。
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