世界に冠たる大権力道徳学の祖である、孔子や孟子や朱子を輩出した中国
といえども、桀紂や秦始皇の如き極悪非道の暴君すらをも共に生み出して来て
しまっている。そのせいで、万年戦乱状態のキリスト教圏ほどではないにしても、
コンスタントに帝国崩壊級の内戦をいくつも繰り返して来てしまってもいる。
それは、孔孟の学である儒学が、権力道徳の実現や堅持ばかりを専らな目的としていて、
それを損なうような権力犯罪の体系的な把握までは疎かにして来てしまっているからだ。
一方で、その権力犯罪の規範を見事なまでに体系化してくれているのが、旧約聖書の
著者である古代のユダヤ人や、それを元に究極邪義を編み出してくれたイエスである。
それはあくまで、権力犯罪の体系であるものだから、順当に準拠すべき模範などとして
利用すれば、最悪の結果ばかりを招いてしまうことになる。しかし、もしも新旧約の
イエスやその他ユダヤ人の教説を「反面教師」としての査察対象としたならば、ただ
専ら権力道徳の体系ばかりを提示している孔孟の学に準拠する並みかそれ以上にも、
権力犯罪による破滅を予防することにかけては、多大なる効力をも持ち得るのだ。
信仰の対象や、模範としての研究の対象ではなく、「あああってはならない」という
反面教師としてのキリストにこそ学ぶのであれば、それはそれで、中国史上に悪名高い
暴君のような権力犯罪者の妄動を根絶させるワクチンともなってくれるに違いないのだ。
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