あらゆる意味で物が無かった時代のほうが人の心も

「モノに普遍的な価値はない」と断言してたのはおまえらのほうだろうが。>>25

　
モノの価値がわからない人間の代表的な特徴には、
「モノの良し悪しを利便性の有無でしか見ることができない」というのもある。

貴重すぎて飾っておくのも憚られるような名画には、利用価値はないが存在価値はある。
綺麗に尻がふけて下水にもよく溶ける便所紙には、利用価値はあるが存在価値はない。

そのような存在価値と利用価値の相反性が理解できなくて、
物品を何もかも利用価値だけで捉えるあまり、存在価値の高い宝物を遠ざけてしまう。

それは、本当に物欲から解脱できているから宝物をも好まないのとは、似て非なる姿。
モノの普遍的な価値を否定することで達観できたように思い込んでいるその裏側では、
未熟で程度の低い物欲を滾らせ続けている、宝物好み以上に浅ましくて卑しい人間模様である。

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