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ちっとも誰しもが富み栄えているわけじゃない。欧米先進国というわずか8億人程度の小社会だけで、
地球資源の8割以上を独占し、日本もどさくさまぎれにそのおこぼれに与っているだけだ。
自分たちでは何も生み出さず、しかも我田引水に奔走する商売人だらけでありながら、
あたかも誰しもが富み栄えているかのような気分になっている。
それは、未だ人類社会が争乱を収拾しきれない国際主義社会であり、仁義による王道統治も叶わない、
「覇道主義」の社会であるからだという弁解がなされるだろう。しかし、元祖覇道主義肯定者である
荀子の論説によれば、覇者というのは、その時代時代において最大級の全体社会において、
責任ある統治を行なおうとする複数の大権力者のことを指す。たとえば中国春秋時代における
「五覇」と呼ばれていた諸侯たち(斉の桓公以外は選出が一定しない)は、当時における中国全土において、
最大級の勢力規模をそれぞれに誇っていたのであって、ちょうど一つ一つの国が、今の地球人類社会における
全中国13億や全インド12億、全アラブ13億ほどもの規模的割合を伴っていた。決して欧米8億の中の
アメリカ3億やロシア1億5000万、フランス6千500万やイギリス6千万などというような
矮小社会中の些細な覇権争いなどではなかった。当時の中国において覇者であろうとするならば、
もはや中国全土の多数派を養うほどもの覚悟が必要で、外界の遊びなどを想定することはできなかった。
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