
政商は、公権力にすらものを言わせられる商売人としての権能を駆使することで、国中や世界中から法外な富を
巻き上げて我が手元に置き、その富を元手に諸々の事業を催すことに専らでいるわけだから、ことに、
世界中や国中の人々を満遍なく豊かにするということだけは絶対にできない。
モナコやルクセンブルグ程度の極小国であればともかく、アメリカやイギリス程度の規模の国ともなれば、
世界最凶級の政商がそこを根城とした結果としても、国内に一定数以上の貧困層が生じてしまうこととなる。
政商がこの世にもたらし得る公益というものは、それ程にも挟隘な範囲に限られるのであり、だからこそ、
政商活動の猛威を超越神エホバの業に見立てた旧約教義においても、神の救いを得られるとされる人間が
ごくごく限られた範囲ばかりに止まってしまっているのでもある。
常日頃から自衛隊を批判しているような左翼活動家なども、いざ日本国内で大災害に見舞われたりすれば、
本人が絶対拒否でもしない限りは、自衛隊員が救助や復興支援をしてくれることとなる。そりゃあ当然、
自衛隊が国家の統制下にある公務組織であるからで、三菱などの政商を兼ねる大企業の飼い犬であるからではない。
兵装の開発や生産を軍需企業に頼ることがあっても、そのための資金は税金によってまかなわれる。
日本の場合は、兵器産業がまだ自国の自衛用途のために限られているから、軍産複合体の肥大化なども
抑制されていて、軍事面で政商の横暴を許すようなこともない。だからこそ、自衛隊の活動なども節度が
保たれて、純粋に「世のため人のため」であることが守られているわけだけれども、果たして、敵国侵略能力を
擁する規模の軍事力を手に入れた場合にもそれが保守されるかどうかは、甚だ疑問である。何かにかけて
因縁を付けては中東諸国を侵略している米軍やNATO軍のようにすらなりかねず、そこにはもはや正義も存在しない。
それでいてそのような極大級の腕力を手に入れた軍隊こそは、軍産複合体という体裁を帯びた政商の忠実な飼い犬となる。
軍事組織も、純粋な国の統制下にあれば純良なものでいられるが、いざ政商の飼い犬と化してしまえば、
もはやろくな道義性も保てなくなる実例が、現状の自衛隊と、米軍やNATO軍とであるといえる。
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